角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「今、見つかったらやばいんだろ」


コソッと耳元で囁くような、かすれ声。


密着する身体を意識すると。


わわっ、なにこれ……。どうしよう、すごくどきどきする。


「あの、せんぱ……っ」

「今はじっとしてろ」

「で、でもっ……」


顔を上げて説明しようとしたら、唇に落とされる指先。


ゆっくりと私の唇を優しく撫でたあと、


「静かにしとかねーと唇、塞ぐよ」


…くっ、唇?!

先輩一体何を考えて……


「どーする? このまま唇塞いでもいいの?」


いやだ、と言う変わりに首を横に振る。


「じゃあいい子にしてて」


今度は、頬を優しく撫でられる。


「っ、」


胸がきゅっと締め付けられる。

私、どうしちゃったんだろう……。


「ねえ、もう時間もないし向こう絞って探そう!」


そんな声が聞こえたあと、パタパタパタッと走り去る足音が遠ざかる。


もう行ったのかなぁ……。
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