角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
腰に回していた手を少し緩めると、
「ねえ瑠衣、どきどきしてる?」
真っ直ぐ見据えられて、逸らすことができない。
どきどきしてないと言ったら嘘になる。
でも、素直に言えない。
「……どきどき、してます」
だけど先輩の言葉には抗えなくて、気がつけば口をついて出た。
「じゃあさ、もっと俺にどきどきしてよ」
「せんぱ……なに、言って……」
「なにって俺にどきどきしてほしいって話」
腰からすすーっと伸びてくる手のひらが、ゆっくりと上に上がるから「ひゃ…っ」変な声を漏らしてしまう。
慌てて口を手で覆うが、先輩に聞かれてしまい。
「瑠衣の声、かーわい」
またひとつ、甘い声が落ちてくる。
身をよじってもびくともしない。
うっ、どうしよう……。
「せ、せんぱ…い……」
もう限界で、先輩に助けを求めるように見上げる。
「それ、ずりー」
声を漏らしたあと、ポスッと私の肩に落ちる先輩の頭。