角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「あ、いえ……」
とは言ったものの、どうして私が連れて来られたのか分からずに困惑する。
「実は俺、きみのこと探してた」
「……へ?」
私のことを、探してた?
こんなにかっこいい人が私のことを……?
「あ、あの……よく意味が……」
「ああ、だよな。まずは説明しなきゃだよな」
早まりすぎた、と言って頭を掻いた先輩は、それから。
「数日前の夕方、中庭で倒れてるやつ……ていうか寝てるやつ見かけなかった?」
「寝てる……」
倒れてるではなく、寝てる人……。
「うん。で、お菓子あげたことなかった?」
お菓子をあげた……
「そういえば……!」
中庭でそんなことがあった気がするのを思い出した。
記憶に一致するものがひとつあり声をあげると、「よかった、思い出してくれて」と安堵したように表情が少しだけ柔らかくなる。
「その寝てたやつが俺なんだけど」
「えっ……そ、そうなんですか?」