角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
その姿は、少しだるそうな、だけど立ち姿さえも様になっているようで。
うん、先輩はかっこいい……。
きっと、誰よりも……。
「楠木さんも気になる?」
へっ……?
隣を見ると、日向くんが窓の外へ視線を向けたまま私に声をかける。
私に声をかけてるんだよね……?
「え、っと…気になるっていうのは……」
「平野先輩。俺も何度か見たことあるけど、すごいかっこいいよね。男の俺でも憧れる」
これだけ遠くにいても、フォルムだけでそのかっこよさが分かる。オーラが伝わってくる。
「……うん、かっこいい…よね」
先輩は、誰よりもかっこいい。
「やっぱり楠木さんも平野先輩みたいな人がタイプ?」
「えっ……?」
「みんなすごい平野先輩に夢中じゃん。だから楠木さんもそーなのかなって思って」
タイプって聞かれてもよく分からないんだよね。
だって私、恋したことがないもん。
でも、そう言ったら驚かせちゃうかな。