角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「わ、私、恋したことないから、好きとかタイプとかそういうの、分からなくて……」
「え、そうなの?」
ほら、やっぱりびっくりさせちゃったよね。
日向くん、驚いた顔してる……。
高校生になったら恋のひとつやふたつなんて当たり前って思う人が多いのかもしれないけど、私はまだ初恋すらない。
「じゃあ俺にもまだチャンスあるのかな」
先輩から目を離して、私を見つめる日向くん。
「えっ、と……」
チャンスって一体、なんだろう……。
「ううん、こっちの話」
そう言うと、ニコリと笑った。
「きゃ〜、平野先輩がこっち見てる!」
クラスメイトが突然騒ぐから、私もつられて窓の外を眺める。
そこには、立ち止まりこちらを見ている先輩の姿があった。
でも、どこを見てるかまでは分からない。