角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「やだっ、今先輩と目が合った!」
「何言ってるの。目が合ったのは私よ!」
「いいえ、私! 先輩は私を見たの!」
クラスメイトは、みんな自分と目が合ったの一点張り。
すごい……。みんな先輩のファンなんだ。
でも、これだけ離れていたら誰と目が合ったかなんて分からないから勘違いしてもおかしくはないのかな。
私も先輩と目が合っているみたい……そう思っていると、ヒラヒラと手を振る先輩。
もしかして私に気づいて……?
うそっ……そんなまさか……。でも……
そうっと手を振り返そうと思ったら、
「──あっ、先輩が私に手を振ってくれたわ!」
「いいえ、私に手を振ったのよ!」
先輩が私に気づいて手を振るはずないのに……私ったらなんて自意識過剰なの…。
恥ずかしくなって慌てて、手を下げた。
「今の楠木さんに手、振ってたんじゃない?」
先輩が私に? ……ううん、きっとそんなことない。
「それは、違うと思う」