角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

家庭科の授業が終わり、あまったワッフルは持ち帰っていいことになった。

そのため先生が用意してくれていた数種類の袋から、桜が散りばめられた透明な袋を選んだ。


みんな、彼氏だったりお母さんにあげるとか言っていたけど、私はどうしよう……。

先輩にあげたいな。でも、先輩もらってくれるかなぁ。


「ねえ、楠木さん。そのお菓子まだあげる人決まってない?」


ひょっこり現れた日向くんが私に声をかける。


「あ、えっと……」


これは先輩にあげようと思っていたのに……。


「もし決まってないなら俺にちょうだいっ。さっき食べたときすごいおいしかったからさ!」


もちろん先輩がもらってくれるか分からない。でも私の気持ちは、あげたい方が大きくて。


「……ご、ごめんなさい。これはあげられません……!」


これをあげたい人は、先輩だから。


「ほんとに、ごめんなさいっ」


おいしいって言ってくれたのに……なんだか申し訳なくて、顔を下げる。
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