角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「もしかしてそれ先輩にあげるの?」
突然、告げられた言葉に「へっ?」弾けたように顔を上げる。
いつもは人懐っこい笑顔を浮かべているのに、目の前にいる日向くんはどこか大人びた表情と、そして真っ直ぐ見据えられる瞳。
それから逃げられなくて。
ど、どうしよう、バレちゃってる……。
「あ、あのっ……えっと……」
お菓子を持つ手にきゅっと力が入る。
「ごめん、今の忘れて!」
パチンっと弾けるような大きな音が目の前でして、少し驚く。
「俺、変なこと聞いちゃった! ごめんね」
ニコリと笑った日向くんは、そのまま何事もなかったかのように、家庭科室を出た。
でも、少しだけホッとする……。
あのまま聞かれてたら私、誤魔化せなかったかもしれないから。
「瑠衣、モテモテだね〜」
日向くんと入れ替わるように声をかけてきたつばきちゃん。