角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「瑠衣、やっぱすげーな。うまい」
ひと口食べた先輩は、また私を褒めてくれた。
「い、いえそんな……」
先輩にあげてよかった。
やっぱりおいしいって言ってもらえると、嬉しいな。
「あ、そうだ。俺、瑠衣に言いたいことあるんだけど」
思い出したように顔を上げる先輩。
「どうしたんですか?」
真剣な顔をする先輩に少しだけ緊張が走る。
「グラウンドから瑠衣に手振ったんだけど、なんで振り返してくんなかったの」
……へ?
グラウンドから手を振ったって、私に?
それって家庭科のときのことだよね。
「瑠衣は俺のこと気づいてると思ったけど」
「あの距離なので、先輩が私に気づいてるはずないと思って……」
きっと、私じゃない。
他の子に手を振ったのかと思っていた。
「なんで俺が瑠衣以外の子に手振らなきゃいけないんだよ」
なんで、って……。
「先輩にはファンが、いるから」
「そんなの知らねぇし。つーか振るわけねーじゃん、瑠衣以外に」