角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
*
今日もまたお菓子を作ったから先輩にあげようと非常階段へ向かおうとしていた途中。
「平野くんいないけど、どこにいるんだろー」
「あと探してないところどこだっけ?」
女の子数人の声がして、私は階段を登るのを躊躇った。
だけど、すぐに降りてきた女の子数人と鉢合わせしてしまう。
うっ、どうしよう……。
「あなた1年生?」
それを聞くってことは……もしかして先輩なのかな。
「……は、はい」
その証拠に降りて来た女の子たちの胸には違う色の刺繍がしてあった。
さっき平野くんって言ってたけど、もしかして先輩のこと探してるのかな……。
「今からこの上に行こうとしてた?」
嘘はいけないけど、でもここでほんとのことを言ったらきっと私……目をつけられちゃう。
「み…道に迷っちゃったみたいで、えへへ……」
お菓子をスカートの後ろへと、ナチュラルに隠す。