角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「分かるよ。だってこの前、覚えたから。きみの匂い」
それは耳元で、甘い囁きのようで。
わずかな顔を上げると、すぐそばに先輩の顔があった。
「きっとどこにいたって探し出せる自信がある」
続けて告げられた言葉に、顔が熱くなった。
「せ、せんぱ……」
どうして私、こんなにどきどきするんだろう。
先輩がかっこいい人だから?
「そういえばまだ名前、聞いてなかったよね。教えてもらってもいい?」
「あ、えっと……楠木瑠衣です……」
恥ずかしくて小さな声で言うと、「瑠衣ね、瑠衣。うん覚えた」と私の名前を頭の中にインプットする先輩。
「俺は、平野春斗。よろしく」
「よ…よろしくお願いします……!」
勢い余って大きく頭を下げると、フッと笑われる。
それだけで、どきどきと鼓動がうるさくなった。
「それでさ、ここからが本題なんだけど」
そう前置きをするから、次は何を言われるんだろうと身構えていると、