角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「俺以外のやつは視界に入れないでよ」


普通に生活してたら視界に男の子は入ってしまうよね。それなのに先輩ってば無理難題言っちゃうし、もうっ……。


「そんなの、無理です」

「じゃあ俺も無理」


私の言葉に被さるように言ったあと、突然、私の手を引く。

えっ、なに……?

驚いた私は、ぎゅっと目を閉じる。


「瑠衣の視界に他の男が入らないように、ここから逃してやんない」


耳元で低い声が、甘く囁く。

恐る恐る目を見開くと、視界の端に先輩がいる。

それだけでどきどき鼓動がうるさくなる。


「…なに、言ってるんですか先輩……っ」

「なにって瑠衣をここから出さないってこと」

「そ、そんなことしたら、先輩も怒られちゃいますよ」

「なんで?」

「だって……こんな場所で先輩といたことが見つかっちゃったら……」


学校中の騒ぎになっちゃうんじゃないのかな。それこそ大変なことになるよね。

学校中のファンを全部敵に回しちゃうってことだよね……?

それだけは、なんとしても回避したい。
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