角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「お菓子、また食べさせてよ」

「……へ? お菓子……ですか?」


ポカンと気が抜けてしまう。


「瑠衣が作ったあれ、すげーうまかったから。また食べたいと思って」

「──えっ、な、名前……っ」


いきなり“瑠衣”だなんて……。

やだ、私……どうしてこんなにどきどきするの…。


「ん? だって瑠衣なんでしょ」

「そ…それはそうなんですけど……いきなり呼び捨てだったので、少しびっくりしちゃって……」

「あー、そっか。悪い」

「い、いえ……大丈夫です」


瑠衣、深呼吸をするのよ……!

心の中で自分で自分を落ち着かせる。


「それでさっきの話、どう?」

「あー、えっと……」


どうと言われても、すぐには答え出ない。

でも、お菓子おいしいって言ってくれた……。

どうしよう。どうしたらいいかな。


「だよな、すぐには答えられないよな。じゃあさ、少し時間あげるから考えてみてよ。で、今度会ったとき教えて」


先輩は、私に気を遣って時間を与えてくれた。


「……ありがとう、ございます」


よかった……と小さく胸を撫で下ろす。


「じゃあまたな、瑠衣」


ふわっと頭を撫でた先輩は、わずかに口元を緩めていて。


すごくすごくかっこよかったんだ。
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