角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
*第三章*
初恋に別れを
*
自分の気持ちに気づいてから、楽しい毎日を送るのだと思っていた。
……そのはずだったのに、数日が過ぎたある日学校を騒がせる出来事が現れた。
それは──、
平野先輩に彼女ができた、ということだった。
「ねー、あの噂ってやっぱりほんとなのかなぁ?」
「えー、うそ。それが事実だったらすごくショックなんだけど……」
クラスメイトは、みんな落ち込んでいるようだった。
「先輩の噂、ほんとなのかなぁ……」
少なからず私も気になるうちのひとりだった。
だって私は、ようやく先輩への気持ちに気づいたばかりだったから。
「どうなんだろうね。先輩に限ってそんなことないと思うけど。だって瑠──…」
つばきちゃんは、何かを言いかけて、「ううん、なんでもない」と、言葉を濁す。
なにか言いかけてたような気がするけど……。
「それより瑠衣は噂のこと信じてる?」
「だって先輩、あれだけかっこよくてモテるから彼女できるのは当たり前かなと思って……」