角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

一緒にいられて嬉しい……はずなのに、心はもやもやと霧がかかっているようで。


「お菓子以外の時間に瑠衣に会えると、すげー嬉しい」


それなのに先輩は、いつものように平然としている。

私は、どきどきするのに……。

先輩には、彼女がいるのに。


「あー…でも瑠衣のこと見てると、抱きしめたくなる」


そんなこと彼女以外に言ったらダメなのに……。


嬉しいって思ったら、いけないのに。


「つーわけで、今から抱きしめてもいい?」


えっ……?


ピタリと止まった先輩の足は、私の方へ向かってきて。

腕を掴まれると、階段横の掃除道具の影に隠れるように連れ込まれる。


「瑠衣の匂い。すげー好き」


私をすっぽりと抱きしめる先輩。


こんなのっ、ダメだよ……。


「せ、せんぱ……」


それなのに、どきどきしてしまう。


「つーか、今日も甘い匂いするけど。もしかしてお菓子作ってきた?」


……っ!!

うそっ、バレてる……。


でも、あれはもうあげられないから。
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