角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「もっ…て、きてませんよ!」

「ほんとか? でも甘い匂いしてるよ」


私の首筋に顔を寄せようとする先輩。


彼女がいるのに、こんなことしないで……。


「先輩……」


ちゃんと聞いた方がいいよ、とつばきちゃんは言っていた。


「ん?」


私を、しっかりと抱きしめる先輩のたくましい腕。

先輩の腕の中は、すごく安心する。


はずだったのに……


「……いえっ、なんでもないです」


心がざわざわして、落ち着かない。


聞きたいのに、聞けないのは、私が弱虫だから。

肯定されてしまったら、もう二度と先輩と会えなくなることを意味しているから。


「でも今、なにか言いかけてなかったか?」

「いえっ、ほんとになんでもないですから、気にしないでください」


無理やり、笑ってみせる。

だけど、心はすごく苦しくて……。
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