角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。


***


「瑠衣ちゃん?」


廊下で立ち止まり、窓を眺めているとき、後ろから声がする。

そこにいたのは……


「……あっ、日向くん」

「そんなところでどーしたの?」


いつもの人懐っこい笑顔を浮かべて近づいた。


「ううん、なんでもないよ」


……先輩のことを探してたって知ったら、どう思うかな。


「そっか」


でも、日向くんは何も言わない。

もしかしたら気を利かせてくれたのかもしれない。


私が自分から突き放したのに、私は先輩を探してる。

先輩が恋しくてたまらない……。


「瑠衣ちゃん、どーっちだ!」


突然、日向くんが両手をぐーにする。


へっ……どうしたんだろう。


「片方だけにチョコ入ってるの。当ててみて!」

「チョコ……?」

「うん! 学校来る途中にあるコンビニに寄ったらさ、おみくじ付きのチョコがあったから買ってきたんだ」
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