角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
ミルクティーの優しい甘さが口いっぱいに広がって、喉を伝って身体に染み渡る。
「……おいしい」
どこかホッとする味だ。
「人間疲れてるときや悩んでるときって甘いの欲しがるんだって」
日向くんは私のこと見てくれていたのかな。
だから、私が悩んでいることにも気づいてくれるのかな。
「そう、なんだね」
私は、これからどうしたらいいんだろう。
日向くんの告白を受け止めたら、きっと幸せになれる気がする。
でも……先輩のことが好き。
忘れたいって思うのに、忘れることができない。
頭の中に先輩の顔や声が焼き付いている。
「瑠衣ちゃんがなに考えているかなんとなく分かるよ」
ふいに、ポツリと言う日向くん。
「だからせめて少しでもホッとひと息つけたらな……と思ったんだけど、逆にごめん」
嬉しいような、悲しいような顔をして笑う。
「どうして日向くんが謝るの?」
「だって、俺といるの気まずいでしょ。俺といたらひと息なんてつけないよね。やっぱり俺、どっか消えて……」
慌てたように、ガタッといきなり立ち上がる。