角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「あっ、私ね、紗倉菜々っていうの! 楠木さんと同い年で8組なんだ」
「紗倉さん……」
あっ、だから会ったことないんだ。体育は合同だけど、隣のクラスとしか一緒になったことないもん。
「それでね、楠木さんに声かけたのには理由があって! ……平野先輩のこと知ってる?」
えっ、どうしてピンポイントで先輩のこと……もしかして私がお菓子あげたこと知ってるから聞いてくるのかな。
「い、一応、名前だけは……」
知ってるもなにも、先輩とお話したことだってあるのに。
嘘つく自分が嫌になる。
「じゃあ先輩に彼女ができたって噂知ってる?」
えっ、どうしてそんなこと……
「……う、うん」
「それが私なんだけどね」
突然、そんなことを言うから驚いて「へっ?」弾けたように顔を上げる。
先輩の彼女が紗倉さん……?
うそ……ほんとに?
「春斗先輩の話によく女の子の名前が出てくるの。なんでもお菓子をくれる女の子だとかで」
先輩のこと、名前で呼んでるんだ……。
それにお菓子をくれる相手って……