角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「やっと瑠衣と二人きりになれた」


いつもの空き教室に移動して、私を足の間に座らせると背後から優しく包み込む。

最近は、この体制が定着しつつある。


すごく恥ずかしいけど、先輩のそばにいられるのが嬉しいって思ったりもする。


「瑠衣と一緒にいるときだけが一番落ち着く」


お腹に手を回して、肩に顎を乗せる先輩。


「先輩と菜々ちゃん、すごく仲が良いんですねっ」

「なんで。仲良くねーよ」


絶対嘘だっ。だってさっきすごく仲良さそうに感じたもん。


「菜々ちゃんといるときはいつもあんな感じなんですか?」

「んー、まぁそうだな。でもうるさい妹なだけだけど」


親が離婚しちゃっていても、兄妹が仲良しってなんかいいなっ。


「菜々ちゃん、すごく可愛いですよねっ。私もあんなふうに可愛くなりたいな〜っ」


先輩の隣にいて、見合う人になりたい。


「瑠衣は、今のままで十分可愛いよ」


と、ぎゅーっと抱きしめられる。


ううっ、どきどきしちゃう……。
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