角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「せ、せんぱい……」


どきどきして、これ以上はもう……。


「そうじゃなくて、名前で呼んでよ。春斗って」

「で、でも……」

「瑠衣に名前で呼んでほしい」


力強く、だけど壊れ物を扱うように抱きしめられる。


心臓が、キュウッとなる。

私、先輩のことがすごく好き……。


「……春斗、先輩っ」


震える声で、先輩の名前を呼ぶ。


たったそれだけで、どきどきが加速する。


「もう一度呼んで」

「……は、春斗先輩っ」

「もう一度」

「春斗、先輩」


何度も繰り返し呼んだあと、「やべー」とつぶやいた先輩。


どうしたんだろう……。


「瑠衣に名前で呼ばれると、すげー嬉しくなる」


甘くて優しい声が、耳元で落ちる。


菜々ちゃんとお話ししているときとは違った声に態度。

さっきの先輩とは全然大違いで、少し可愛く見えてしまう。


「ほんと、幸せすぎてやばい」


温かくて、ふわふわして。

この感情を一言で表すなら。


「私も、幸せですっ」


まさしく幸せそのものだった──。
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