角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
それから2人でやってきたのは、近くでやって来た花火大会。
まだ6時過ぎということもあり、あたりは明るくて、たくさんの屋台で賑わっている。
「ここの花火、結構人気あるんだなぁ。知らなかった」
えっ、知らなかったの……。
「先輩は、花火大会来たことないんですか?」
「あんま俺、人混み得意じゃないんだよな。だから今まではほとんど家族とも来たことなかった」
そうだったんだ……。じゃあ今も少し苦手だったりするのかな。
「けど、瑠衣のこと喜ばせてやりたかったから、夏休み入る前からここの花火大会のこと調べてた」
えっ、調べてたの……?
「私のため、ですか?」
「瑠衣に喜んでほしかったし、それに瑠衣と一緒に夏の思い出作りたかったし」
うそ、嬉しい……。
先輩、そんなことまで考えてくれて。
「俺、瑠衣のことすげー好きだから。瑠衣のためならどんなことでもできるんだよな」
少し照れくさそうに頭をかきながら、先輩は言う。
「先輩……嬉しいです。ありがとう、ございます」
「ん、よかった」
先輩の手は、温かくてすごく安心した。