角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「先輩、花火見なくていいんですか?」
「瑠衣は花火見てて。俺は、瑠衣のこと見てたい」
腕の中で、甘く優しく囁かれる。
でも、見ててって言われても……。そんなに先輩に見つめられちゃったら。
「……花火に集中できない、です」
せっかくの花火なのに、隣にいる先輩が気になってたまらない。
「じゃあ俺のことだけ見てよ」
すごくすごく綺麗な花火なのに、見たのははじめのうちだけで。
「……せんぱ、い」
どうしよう。
もう先輩しか見えない……。
「瑠衣、好きだよ」
「私も……先輩のこと好き、です」
ゆっくりと伸ばした腕を、先輩の首に回した。
夏の空気が、夏の匂いが、少しだけ私をおかしくさせた──。