角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「き、今日……はどうしたんですか?」

「ああ、うん。この前の答え聞こうと思って──…」


そこまで言いかけて、口ごもる先輩。


どうしたんだろう……。

先輩は、私をじーっと見つめるから、どきどきしないわけがなくて。


私の頭になにかついてるのかな。それともほかに気になるところがあるのかな……そう思っていると、私に向かって手を伸ばすから、思わずきゅっと目を閉じる──


「今日も甘い匂いする。お菓子作ってきたの?」


すぐ近くで声がしたと同時に、「きゃー!」と悲鳴にも聞こえるような黄色い歓声が響く。


きゃ……っ、一体なにが起こったの?

慌てて目を開くと、私の顔のすぐそばに顔を寄せていた先輩。


「あ、あのっ、せんぱ……」


髪の毛を一掬いして、指で髪を梳かしている先輩。


少し伏し目がちで、かっこよくて。ドラマのワンシーンのように絵になる先輩が至近距離にいたら。
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