角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
非常階段は、甘い匂いでいっぱい
*
「あ、瑠衣。今日もまたお菓子作ってきたんだね」
ある日の朝、つばきちゃんに笑いながら言われた。
「うっ……。やっぱり匂いする?」
「うん、今日もすごーく甘い匂いしてる」
朝、学校に来る前に仕上げをしたから制服に匂いついちゃったのかなぁ。
「それで今日は何を作ったの?」
「えへへっ、実はね、マフィンを作ったの!」
先輩は、甘いものが大好きだと言っていたからハニー味とチョコ味の2種類。
「へぇ、そうなんだ。結構気合い入ったね」
「うんっ、そうなの!」
先輩ならきっとなにを作っても喜んでくれるんだけど、おいしいってあの表情が見たくてもっとおいしいの作りたいって思うんだよねっ。
「それなにー?」
つばきちゃんと話している途中、私たちに声をかけてくる男の子。