角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

【そっち迎えに行くから】


「先輩がこっちに来るって……」

「あら、よかったじゃない」

「よくないよっ……!」


そんなことになったら私、またクラスメイトになにを言われるか……。考えただけで身震いする。


【私が先輩のところに行きますので!】


慌ててメッセージを打った。


だけど、先輩のことだ。

すぐに来るかもしれない。


「つばきちゃん、私、行ってくるね!」

「いってらっしゃーい」


軽い調子で手を振るつばきちゃんのそばを離れて、私はお菓子を胸の前で握りしめると、教室を飛び出した。


その直後、先輩からのメッセージが届いて。


【じゃあ非常階段のとこで待ってる】


よかった……。

なんとか先輩をここへ来るのを止めることができたみたい。

安堵して、非常階段へと急いだ。
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