角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

非常階段につくと、すでに先輩は座って待っていた。


「瑠衣、こっち」


自分の隣をポンポンっと叩く先輩。


先輩、かっこいいなぁ……。


「は、はい……」


私はどきどきしながら、お菓子を抱きしめて座る。


「連絡ありがとな。すげー嬉しかった」


非常階段は声が響く。そのせいで、先輩の声がすぐ近くから聞こえてくる。


「い、いえ……」


やっぱり、ここはひとつ言っておいた方がいいかな。


「……先輩」

「ん?」

「今度からここで待ち合わせ、しませんか?」


毎回先輩が教室にやって来るかもしれないとどきどきするのは、心臓に悪いから……。


「なんで。俺が教室に行くの嫌なの?」


あわわっ、先輩ムスッとしちゃった……。

気分悪くしちゃった、かな。


「嫌とかじゃ、なくて、先輩は……人気者で目立つので……」

「俺、べつに人気者じゃないけど」


あれ……。先輩もしかして噂とか知らないのかな。
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