角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

「それで今回は何を作っているの?」


キッチン前にあるカウンター席に腰掛けるお母さんは、ぐうっと覗き込んでくる。


「マドレーヌ作ったの! よかったらお母さん食べてみて」


失敗したら大変だからと、まずは試作で少しだけ作ってみた。


「ん〜、しっとりしてていいわね。完璧!」


グッと親指を立てるお母さん。


「ほんと?! よかったぁ」


お母さんのOKがもらえると、やっぱり安心してしまう。


「じゃあ早速、これも焼いていこうかなっ」


型に流し込んだものを、オーブンに入れてセットする。


おいしくなっておいで……ふふっ! 楽しみだなぁっ。


「それにしても最近特にお菓子作りがエスカレートしてるわね。それにレパートリーも増えてるみたいだし」


ぎくっ……。
お母さんってば、鋭い…。


「今までそんなことなかったのに……もしかして好きな子でもできたのかしら?」


口元に手を当てて、むふっと笑うお母さん。
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