角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
*
「今日は何を作ってきたの?」
「……マドレーヌを少々」
「なに少々って。どうせお菓子作るのに夢中になってたーくさん作ってきたんじゃないの?」
「……うっ。つばきちゃん、鋭い」
お菓子作りに没頭してしまうと、ついたくさん作ってしまう。
「瑠衣のことならなんでもお見通しですー」
結局、昨日はたくさん作ってしまったの。
「お母さんにもお姉ちゃんにもあげたんだけどね、まだたくさん残ってて……」
「だから学校に持ってきたってわけね」
もちろん他にも理由は、あるんだけど。
「う、うん……」
つばきちゃんに言えなくて、それが嘘をついているみたいで罪悪感があった私は、あさっての方を見てしまう。
「瑠衣。その返事、少し怪しくない?」
ぎくっ……。
つばきちゃんも鋭いんだよなぁ。
「そ、そうかなぁ……」
「おまけに今、視線逸らしたよね。何か隠してることでもあるの?」