角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

つばきちゃんは、事情聴取してくる。

それはまるで警察のようで、じりじりと追い詰められている気分になる。


「な、なんでも、ないよ」

「明らかに声上擦ってるけど」


小さな変化でも見逃してくれないつばきちゃんに「うぐっ……」と言葉を詰まらせる私。


「ほら、もういい加減観念して言っちゃいなよ。楽になるよ」


つばきちゃんの誘惑に乗せられた私は、周りに人がいないか確認して。


「じ、実はね……お菓子をいつもより多めに作っちゃって……」


お菓子作りに夢中になることは、今までもたくさんあった。


おいしくなぁれ、おいしくなぁれ。

そう思いながらお菓子を作っていた。


でも、“誰か”を思いながら作ったのは最近になってから。


「……先輩が、お菓子おいしいって言ってくれたから……だから私……」


先輩のことを思いながら、作ったの。


「張り切っちゃったってわけか?」

「……うん」


あまりの恥ずかしさに、ぷしゅーっと頭から湯気が出そうになる。
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