角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「瑠依とは知り合ってまだ1ヶ月だけど、中学のときはどうだったの? 好きな人いなかったの?」
「え、うーん……かっこいいなぁって男の子はいたんだけど、それが恋かどうか分からないんだよね」
周りの子たちは、恋バナをしていたけど、私はもうその頃からお菓子作りに夢中でいつも聞く側だった。
「じゃあ瑠依は初恋まだなんだね」
「う、うん……」
高校生になって初恋がまだなんて私くらいなのかなぁ。
「恋してみたいって思う?」
「うーん、そりゃあしてみたいって思うけど……」
中学生のとき、友達が私を心配して少女漫画を貸してくれたことがあった。読んでみたらどきどきしたりきゅんとしたり、幸せな気持ちになったのを覚えている。
でも、それが私の身に起きることを想像できなくて。
「私にはまだ早いんじゃないのかなぁって思うっていうか、難しいのかなぁって……」
憧れはあるけれど、私にとっては未知すぎる世界。
「そうだね。瑠依は今、お菓子作りに夢中だから恋なんて二の次になってるもんね」