角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

世界がキラキラって、どんなふうになるんだろう……。


もちろん憧れは、ある。

ただ、あまりにも知らなすぎるその世界に私は楽しみよりも不安の方が大きくて。

一歩踏み出すことが、できない。


「恋に早いも遅いもないと思う!」

「え……」

「だって恋っていつのまにかしてるものだから。好きになったら一瞬だよ、一瞬で世界が変わるの」


一瞬で世界が……変わる……。


「つばきちゃんは恋したことある?」

「私?」


私が尋ねると、一瞬きょとんとした表情を浮かべたつばきちゃん。


「もちろんあるよ。たしか中学2年生のときだったかなぁ」


どこか遠くを眺めながら、しゃべりだす。


「相手は先輩だったんだけど、委員が同じで、私が困ってたときもすごく優しくて、そしたらいつのまにか好きになってたんだよね!」

「いつのまにか……?」

「そう。気づいたら私、先輩のこと好きになっちゃってたの!」
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