角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
でも、私に気づいてる様子はない。
そりゃあそうだよね……だって私、目立たないし地味だし……。
先輩の周りにいる女の子たちは、みんな可愛かったり綺麗だったりとすごく大人っぽくて。
あの中に入って先輩にお菓子届けに行くなんて無理。
きっと、先輩たちに睨まれちゃう……。
せっかくお菓子作ったけど、これはつばきちゃんにあげようかな。
「……せんぱい……」
甘いお菓子食べてほしかったけど、先輩は女の子に囲まれていて。
後ろ髪引かれる思いで、私はその場を後にした。
もうすぐで教室に帰り着こうとしたとき。
「──あっ、楠木さん!」
私に気づいて寄ってきたのは、日向くんだった。
「それ、どうしたの? お菓子誰かにあげるつもりだったの?」
「……あ、うん……でも、もう必要なくなっちゃったから」
だからこれは、つばきちゃんにあげよう。
もらってくれるか分からないけど……。
「じゃあさ、それ俺が貰っちゃだめ?」
「……へ?」