角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

お菓子食べてくれたかなぁ……。

あのあと大丈夫だったかなぁ、風邪ひいてないかなぁ。


「瑠衣、ぼーっとしてどうしたの?」


中庭を見つめたまま固まっていた私に声をかける、つばきちゃん。


「あ、えっと……」

「なにか思い出してたの?」


廊下で立ち止まる私たちを周りの生徒は邪魔そうに避ける。


「実はね……」


数日前にあった出来事を、つばきちゃんに相談してみようと思ったそのとき、背後から手を引かれて。


「──見つけた」


低い声が落ちてきた。


「……へっ?」


私の身体は後ろへ引かれる。

思考は止まって、何が起こったのか分からない。


「きみのこと、やっと見つけた」


そしてまた、もう一度声が落ちてくる。


「きゃ」


と短く驚いたのは、私ではなく、つばきちゃんの声。


一体、何が起こったのかと、恐る恐る顔を上げて見てみると。
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