角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

今日もまたおいしいって言ってくれるかなぁって楽しみにしていたのに……。あの表情を見ることができなくて、少しだけ残念。


「そうだけど、先輩に渡せなかったから、仕方ないかなぁって」

「瑠衣はそれでよかったの?」


ほんとは、すごくすごく嫌だったけど。


「……うん」


だけど、お菓子は誰かに食べてもらうためにある。

だったら誰かに食べてもらった方がきっといいよね。


「でも瑠衣、ほんとは嫌だったんじゃないの?」

「……へ?」

「だって、そんな顔してるよ」


そんな顔って、私が嫌だって顔してるってこと……?


「そっ、そんなこと、ないよ!」

「え、でも、瑠衣」

「私、ほんとに大丈夫だから心配しないで!」


今日はたまたま先輩が来られなかっただけ。

きっと明日になればまた先輩は、おいしいって言ってお菓子を食べてくれる。


「私、全然気にしてないから!」


私は、先輩のためにおいしいお菓子を作るだけ。

それだけなんだから──。
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