角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

***


お昼休みになり、待ちに待ったお昼ご飯……のはずなのに、今日はなんだか食欲があまりない。


「瑠衣、元気ないよ」


つばきちゃんが心配そうに私を見つめる。


「だ、大丈夫だよっ!」

「大丈夫って顔してないよ、瑠衣。やっぱりもう一度先輩のところに行った方がいいんじゃない?」


先輩の周りにいる女の子たちは、みんな綺麗で可愛かった。

私が今まで先輩のそばにいたのが、おかしかったかもしれない。


「ううんっ、いいの…! それよりほらっ、ご飯食べよ?」


全部忘れるようにお弁当に集中する。

そうしたら嫌なこと忘れてしまうと思うから。


「瑠衣」


それなのに忘れさせてくれない。

耳の奥で、先輩の声が聞こえた。


やだ、私ってば。どうして先輩のこと思い出しちゃうの……。


「瑠衣、呼ばれてるよ」


つばきちゃんの声に、弾かれたように顔を上げる。


「へっ? 呼ばれてるって、誰に……」


つばきちゃんが指をさす、その先にいたのは。
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