角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。

一体、なにがどうなってしまったの……。


「あ、の…せんぱ……」


あまりの距離に顔をあげられなくて。


「わがままな瑠衣が悪いんだからな」


ムスッとした声色が落ちたあと、先輩が手を掴んで歩き出すから。


「あのっ、先輩……っ」


クラスメイトの歓声の中、手を引かれて。

羨む声に、嫉妬の眼差し、それらを突きつけられながらわけも分からず連れて行かれた。


そうしてやってきた場所は、もちろんあの場所。


「メッセージ気づくの遅くなってごめん」


真っ先に頭を下げたのは、先輩だった。


「授業終わって向かおうとしたんだけど急に女子に囲まれて身動きとれなくなってさ」


さきほどより少しだけ穏やかな声。


「連絡に気づいて向かったときには、瑠衣いなくて。ごめん、待ってたよな」


いつもお菓子をおいしそうに頬張る先輩とは違って、申し訳なさそうな表情。


やだ、私。そんな顔、見たくない……。
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