角砂糖より甘い先輩の溺愛は、今日も止まらない。
「こんなのダセーよな、ほんと」
前髪をわしゃわしゃと搔いたあと、かきあげる。
「……俺、ちょー余裕ねぇし。ダセ」
先輩は、ひとりでぶつぶつとつぶやく。
「あの、先輩さっきからなんの話をして……」
「俺がすげーダサいって話」
え、先輩がダサい?
ううん、そんなことない。だって先輩は……
「先輩は、すごく優しくて、かっこいいです。私のお菓子をおいしいって食べてくれて、いつも私のことを褒めてくれて……」
先輩においしいって食べてほしくて、最近お菓子作りに気合いが入ってしまう。
それを持って行ったら先輩はいなくて、だからすごく残念だったけど。
「先輩は、ダサくなんてないです。すごく、すごく……かっこいいです」
噂通り、すごくかっこよくて、どきどきが止まらない。
見た目も、中身も、考え方も。
「瑠衣。それ、まじ?」
「……ほ、ほんとです」
「俺、かっこいい?」
「……は、はい」