初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
新田さんはどうやら気付いていないらしく、アルコールのメニュー表を見つめている。
「あの、スマホ鳴ってますよ」
「え? あー……」
スマホを手に取ると、新田さんは画面を見つめ眉を顰める。
美人の不機嫌な表情は迫力があるな、なんて思っていたら、新田さんは掛かってきていた着信を切り、そのまま何かを操作してスマホを再びソファーに置いてしまった。
「……電話、取らなくて平気だったんですか?」
「いい。彼女からだから」
「へ」
「いや、彼女っつーか……セフレ? まぁ、どっちでも同じだろ」
心からどうでも良いというような態度で固まった私を一瞥すると、タブレットでカクテルを注文し改めて私に視線を向けた。
何が面白いのか、口角を緩く持ち上げ首をゆっくりとした動作で傾ける。
この人、恋愛観が人よりズレてる……?