初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「なに? 俺何か変なこと言った?」
「……彼女、とセフレは違うと思います」
「へぇ、例えば?」
「セフレって、身体だけの関係ですよね。彼女にするって事は、好意が伴うものですし。好きだから一緒に居たいし、大切にしたいって思うものなので」
「ふぅん。香苗チャンにとっては、付き合うってそういうことなんだ」
新田さんは私の話をじっと面白そうに聞き、数度頷いて運ばれてきたカクテルをごくりと飲む。
大きな喉仏が動き、ペロリと唇を舐める赤い舌が目を引いた。
この人が魅力的なのは分かる。けど、何故だろう。
すごく馬鹿にされているような気がする。
「俺は、身体の相性がたまたま良くて、相手から付き合おうって言われて付き合ってみたけど束縛すげーし、会いたいとか連絡欲しいとかうるせぇし。これが恋愛っつーなら無理だな。大切にしたいとも思えない」
「…………」
「結局付き合っても、セックス以外に相手に必要性感じないから。彼女もセフレも同じ」
新田さんからは悪気なんて全く感じない。これが本心なんだろう。
だけど、こちらの反応を伺うような、人を嘲笑うその態度に嫌悪感を感じる。いくら顔が良くともこれはない。