初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
我ながら、何故ここまで熱くなってるのか分からないほど腹が立ってきた。
そんな私の様子に気付いて遊んでいるのか、新田さんは笑みを崩さない。
友人と先輩は話に夢中になっていてこちらの様子には気付いていない。
「大体さ、恋してる人間は盲目過ぎるんだよ」
「…………」
「他人に執着して、どうせ結婚しない限りそのうち別れるのに、アホくさ」
プツリ、私の中で何かが切れる音がした。
煮えたぎっていた怒りは一瞬で引き、代わりに恐ろしいほど冷静になる。
氷が溶け、汗をかいたグラスを掴み、カクテルの残りを一気に煽る。
そして私も同じように、顔面に笑みを貼り付け新田さんを見据えた。
そんな私を見た新田さんは面食らったように表情を崩す。
「確かに盲目かもしれないけど、私は、人を愛して幸せにしたいと想うのは良いことだと信じてます」
「…………」
「けど、新田さんはこんな気持ち感じたことがないんですもんね」
私は財布から今日の分の飲み代、お札数枚をテーブルに置き、立ち上がって新田さんを見下ろした。
友人と先輩も私の行動を見て、視線をこちらに向ける。