初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
新田さんは口を半開きにして目を見開き、ただこちらを見上げていた。
私はニッコリと微笑み、静かに口を開く。
「恋をしたことないなんて、可哀想な人」
本当に、心から同情する。
私の言葉で何故か新田さんは、耳と目尻をじわりと赤く染めた。
怒らせてしまったのかもしれないが、学内は広いしもう会わないだろうからどうでもいい。
私は友人にごめん帰ると謝り、その場を後にした。
空気を悪くしてしまったかもしれない。後で改めて連絡しよう。
蒸し暑い繁華街を歩きながら、私はくるはずもない彼氏からの連絡を確認し、一人ため息を吐いた。
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