初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜

 


「オマエの彼氏、浮気してんぞ」
「…………は?」
「だーかーら、浮気されてるぞって。香苗チャンが」
「……なんで、そんなこと」
「聞いたし、見たから」
「はぁ」



 ────あぁ、そういうことか。


 何故私のことを調べていたのか腑に落ちた。
 この人は、私に生意気なことを言われた腹いせに、私の嫌がる情報を集めていたんだ。
 こちらの様子を伺うように私を見つめる色素の薄い瞳がその証拠。


 しかし、浮気。浮気かぁ……。
 じわじわと絶望感が押し寄せてくる。正直予想していなかったわけではないけど。


 新田さんは私を痛めつけたいんだから、浮気しているなんて嘘を伝えるわけがない。だからこれは事実だ。

 
 唇を結び何も言わない私を見て、新田さんは態とらしく溜息をついて口を開く。



< 19 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop