初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「オマエの彼氏、浮気してんぞ」
「…………は?」
「だーかーら、浮気されてるぞって。香苗チャンが」
「……なんで、そんなこと」
「聞いたし、見たから」
「はぁ」
────あぁ、そういうことか。
何故私のことを調べていたのか腑に落ちた。
この人は、私に生意気なことを言われた腹いせに、私の嫌がる情報を集めていたんだ。
こちらの様子を伺うように私を見つめる色素の薄い瞳がその証拠。
しかし、浮気。浮気かぁ……。
じわじわと絶望感が押し寄せてくる。正直予想していなかったわけではないけど。
新田さんは私を痛めつけたいんだから、浮気しているなんて嘘を伝えるわけがない。だからこれは事実だ。
唇を結び何も言わない私を見て、新田さんは態とらしく溜息をついて口を開く。