初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



「……俺が、わざわざ嫌がらせする為に会いに来たと思ってたのかよ」
「誰でもそう思うと思います」
「違うから」
「何が違うんですか。私の弱点を調べて回ってたんですよね」
「ちっげぇよ!!……あーもうっ!」



 突然の叫びに、ココアの缶を落としてしまいそうになる。
 飲み終わった缶をぐしゃりと潰す様子を見てドン引きする。いや、普通に怖い。この人情緒不安定なの?


 驚きで目を点にしながら新田さんを見つめていると、その耳と目尻が徐々に染まっていく。本日二度目。
 新田さんは怒ると分かりやすい。
 そのままギロっと見つめられ、私は思わず隣に座る新田さんから距離をとる。



「えっと、違うとは……」
「悪いと思ったんだよ。この前の飲みの席で、嫌な思いさせたから」
「へ?」
「だから、学内でオマエの周りに好きなもんとか色々聞いて……その、お詫び? しに行こうと思ってた」
「それが何故彼氏の浮気暴露に繋がるんですか……?」



 宇宙を背負うとはこのことだと思った。
 だって、どう考えてもお詫びと浮気暴露は繋がらない。
 サイコパスだとしか思えないこの所業に、首を傾げることしかできない。



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