初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



 なのに新田さんはまるで分からないこっちが悪いとでも言いたげな様子で話を続ける。
 片手には潰れた缶が握られているし、身振り手振りアワアワするその様子が少し面白くなってきた。



「情報集めてたら、オマエが彼氏いるって知って、尚且つ浮気されてるって……恋は良いものって言い切ってた癖に、裏切られてること知らないなんて、きっと嫌だろうなって思って……」
「…………」
「浮気を教えてやったら、そんなクソ野郎の本性知れるキッカケになったって……喜んで貰える、お詫びになると思った……だから、泣かせるつもりなんてなかった」



 話が進むにつれ、自分のしたことが的外れだったことに気付いたのかどんどん声量を落とす新田さんを見て、そういう事かと納得した。


 この人、多分見目が異常に良いから、これまで求めなくても周りに人は集まってきたし、誰かを傷付けようと代替え品なんていくらでもいると思ってたんだ。



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