初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「えっと、その、この前は、揶揄うようなこと言って、嫌な態度して、ごめん」
「はい。いいですよ。もう許しました」
「えっ」
「言ったじゃないですか、謝ればいいって。引きずりませんよ私」
ポカンと口を開き、またしても美人な顔を台無しにした新田さんはこちらをじっと見つめ黙り込む。
謝罪も受けたしココアも奢ってもらえたし、もうこれで新田さんは満足だろう。私はベンチから立ち上がる。
「それじゃあ、失礼します」
「は!? お、おい、待って」
「はい?」
「なんで行くんだよ!」
「いや、行きますよ。私この後講義あるし……」
勢い良く立ち上がった新田さんに見下ろされビクつく。
顔も良く体格にも恵まれている新田さんに目の前に立たれると、無駄に迫力もありどうしても恐怖感が勝る。
それに、なんで行くんだよとは……。