初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
新田さんはセットされたブラウンの髪の毛を掻きむしると、ポケットからスマホを取り出し私に画面を向ける。
その画面にはメッセージアプリのQRコードが。
「ん」
「は、え?」
「連絡先交換して。その、相談とか乗るから。浮気の」
「そ、れは……新田さんがセフレたくさん居て、浮気する側の気持ちが分かるからですか?」
「ちげーよ! ……っつーか、セフレはもう居ない。彼女も。全部切った」
「…………」
「つまり、フリー。だからほら、早くスキャンしろ」
あれだけセフレも彼女も変わらないと馬鹿にしていた新田さんが、全ての関係を清算したと……?
信じられないし、別にそれが嘘だろうと私にはあまり関係ないけど、勢いに負け、連絡先を交換する。