初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
身支度を整え、セフレの縋るような言葉を背に部屋を出る。
何度も来たこのアパートも今日で最後だ。
夜とはいえ気温は高い。
肌にまとわりつくぬるい夜風に舌打ちしながら、住宅街を駅に向かって歩く。
性欲も発散できなかったし、頭の中はこの前会ったあの女の言葉ばかりが過ぎる。
恋をしたことがない。この先も必要だとは思えなかった。
そんな感情のないドライな関係の方が楽だと知っているから。
女なんて、切っても切った分向こうからやってくると思っているから。