初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



 なのに、可哀想? 理解ができない。
 だけど、恋は良いものだと語るあの表情が、俺を冷えた目で睨みつけたあの視線が、言葉が、どうしようもなく心を抉ってくる。


 感じたことのない、甘い痛みだ。
 ふわふわと足取りがおぼつかなくなる、酩酊している感覚。



「また会いてー。……話したい」



 無意識に素直な言葉が溢れ、口元を手で覆う。
 ああ、そうか。そうだ。
 また会いたいんだ、あの子に、俺は。





***
< 34 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop