初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「深冬、なに、もう一回言って」
「だーかーら、あの飲みん時に居た、香苗ちゃんの連絡先を後輩に聞いてほしい」
「無理」
「なんでだよ!!」
椅子から立ち上がり、ダンッとテーブルに両手を思い切りつくと友人の食っていたラーメンのスープが溢れた。
下から思い切り睨み上げられ、グッと押し黙り大人しく座る。
自分の行動のせいで静まり返った昼時の学食内。視線が集まっていることをいいことに、わざとゆっくりと目を細め、ニコリと微笑むと、遠巻きにこちらを見ていた女子達が頬を赤らめる。
そして何事もなかったかのように学食は騒めきを取り戻し、俺は友人に視線を戻した。